紙の特性 親水性
湿度と紙の伸縮 ― 縦には伸びにくく横には伸びやすい ―
紙を構成している植物繊維は親水性があり、湿度※ が高くなると吸湿し膨張します。低くなると放湿し収縮します。紙の伸縮は、シートを構成している一本一本の繊維が伸縮するために起こります。繊維の縦(長さ)方向の伸縮はわずかで、横(太さ)方向の伸縮は20倍くらいになります。
※ 湿度:日常よく使われる「湿度」は「相対湿度」のことです。空気中の水蒸気量(g)を空気が含むことのできる水蒸気量で割った値(%RH)です。
湿度による影響 ― 1枚の紙と重ねた紙の違い ―
湿度変化による影響は、一枚の紙と重ねた紙では異なります。
一枚の紙の場合は、表面と裏面で含水率が変化すれば歪みが生じます。片面が乾燥もしくは加湿されるとカール(反り)が生じます。
一般的には、紙の縦方向を軸にしてカールが起こります(異方性紙のカールという)。繊維の方向性が強くない紙の場合はカールが皿状に起こります(等方性紙のカールという)。
重ねた紙の場合は外周部近辺で含水率が変化し、内層部分はほとんど変化しません。高湿度環境では「波うち(ウェイビィエッジ)」という歪みが生じ、低湿度環境では「おちょこ(タイトエッジ)」という歪みが生じます。
吸放湿による影響を小さくするために
吸放湿による紙の変化は時間とともに減少し、湿潤・乾燥のくり返しを行うことで寸法の安定性が向上します。この作業を「シーズニング」と言います。製品の出荷前に紙の姿勢や寸法を安定させるために行います。