貴重な資料を未来へ
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44グラシン紙Glassineパルプを高度に粘状叩解し、抄紙後の湿潤状態で強くロールプレスして光沢と平滑性、透明性を付与した紙。中性紙のグラシンは、紙が透けて見えるため写真などの間紙や書籍のカバーなどに使われている。燻蒸(くんじょう)Fumigation菌類や虫などを駆除するために、密封した容器や小部屋の中で揮発性物質や薬品の蒸気に資料をさらすこと。殺虫・殺菌効果が期待されるが、人体や資料への影響も考慮し使われる。長らく「臭化メチル」が使われてきたが、オゾン層破壊物質として指定されてからは、代替の燻蒸剤が提唱されている。たとえば、酸化エチレンやヨウ化メチル、酸化プロピレン、フッ化スルフリルなどがあり、資料の種類や殺虫か殺菌かなど、目的に応じて使い分けされている。近年では、IPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)という手法を導入し、限定的な燻蒸を実施する機関が多くなってきた。楮紙(こうぞがみ)Kouzo-gamiクワ科の落葉低木を原料とする紙。栽培が容易なため、日本で広く普及した。繊維は長く太く強靭で、繊維の絡(から)みが強いので、耐久性に優れる。公文書館法Public Archives Act1987年公布、翌年に施行された。公文書館・公文書などの定義、保存・利用の責務、専門職員、国の援助などを規定している。国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions, IFLA)図書館活動の全分野にわたって国際的な規模での相互理解・協力、討議、開発を推進する目的で1927年に設立された団体。IFLAは、「資料保存の原則」を1986年と1998年に発表している。国際文書館評議会International Council on Archives, ICAユネスコの諮問機関でもある文書館の国際NGOで1948年に設立。国際公文書館会議ともいう。195カ国、1500機関が参加している。本部はフランスのパリにある。国立公文書館National Archives of Japan国の行政に関する公文書その他の記録の保存、閲覧、調査研究などを目的に、1971年に設立。国立公文書館法National Archives Act1999年に制定された、国の機関の保管にかかわる公文書の適切な保存と利用に関する法律。公文書の適切な管理と保存のために、2009年には公文書管理法が制定された。国立国会図書館National Diet Library「真理がわれらを自由にする」との理念で、1948年に設立。国政審議に資することを目的にした議会図書館であるとともに、一般国民に対しても広く奉仕する唯一の国立中央図書館である。国内で出版された書籍などは、納本制度のもと網羅的収集、保存が行われている。紙縒り(こより)Koyori薄葉紙を紙の目方向に細く裂き、端から巻くようにして縒った紙紐(かみひも)。手漉きの石州(せきしゅう)和紙(島根県)などの丈夫な和紙が適している。コンサベーションConservation資料の物理的・化学的な劣化を防いだり遅らせるための手段。修復や脱酸、保存環境の整備、保存箱の導入などが代表例。サイジングSizing紙にほどこす、インキのにじみ留めのこと。和紙の世界ではドウサ引きともいう。洋紙の分野では、サイズ剤の定着に硫酸アルミニウムが使われ、酸性紙問題の元凶となった。再生紙Recycled paper古紙をリサイクルし、脱インク処理などをしたパルプを主原料にして製造した紙。原料古紙にさまざまな物質が混入している製品は、たとえ中性紙であっても再生紙は資料保存には向かない。Terminology用 語 集

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