貴重な資料を未来へ
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光虫2光光は紙の劣化を促進し、紙やインキなどの変退色を引き起こす。太陽光だけでなく、紫外線(320-400nm)は蛍光灯、赤外線(760-1000nm)は白色灯からも発生する。酸性紙でボロボロになった書籍本文■紙資料を劣化させるさまざまな原因紙をベースにした絵画や写真、本・文書類などは、時間の経過とともに劣化する。要因を大きく分けると、作品・資料をとりまく環境が引き起こす「外的要因」と紙そのものが起こす「内的要因」になる。外的要因の主なものは、光、汚染ガス、虫・小動物、人災、天災、チリ・ホコリ、カビ、温湿度変化の8種類である。内的要因の主なものは、紙中に含まれる酸性物質。インキのにじみ留めに使われるロジンという物質を定着させるための硫酸アルミニウムである。参考文献『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』エドワード・P.アドコック編集 国立国会図書館訳(2003.7)汚染ガス長期間、汚染ガスに資料が触れていると、変色や劣化が起こる。代表的なガスは、窒素酸化物やアンモニア、ホルムアルデヒドなど。虫・小動物虫は紙や糊、皮や布などの有機物を餌とし、紙資料を傷める。ネズミなどの小動物は資料を破壊することがある。人災不注意な取り扱いによる物理的ダメージや火災による焼失などがある。火災は広範囲の資料に損傷を与え、消火による冠水という二次被害も想定される。天災地震や洪水などは、資料に取り返しのつかないダメージを与える。チリ・ホコリ資料を汚染する。チリやホコリの多くは吸湿性があり、カビや虫の発生源になる。カビカビの胞子はいたるところに存在する。高い温湿度、光や空気のよどみなど、条件が整えば発芽・成長・増殖し資料を汚染する。温湿度の変化           紙は温湿度の変化を受け劣化する。相対湿度が高いとカビや虫の温床になり、低くなると水分が失われ、紙自体がもろくなる。温湿度の急激な変化の繰り返しで、紙はいっそう劣化する。温湿度温湿度の変化チ リホコリ汚 染ガ ス小動物紙資料を劣化させる原因カ ビ人 災資 料天 災なぜ、紙資料は劣化するのか?

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