貴重な資料を未来へ
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17  ブックマットの構造■資料の種類によって保存方法を選ぶ保存額装とは?・・・保存額装3つのポイント・・・① 安全な材料を選ぶ 版画や水彩画、デッサンなど紙をベースにした作品は、光や湿気、不注意な取扱いなどで劣化する。保存額装(Conservation Framing)とは物理的にも化学的にも永く安定した環境で作品を保管する額装方法。額縁を構成する諸材料が外部からの劣化要因から作品をまもると同時に、作品に悪影響を与えないよう、安全な材料を選択しなければならない。額装に使う材料は、作品を保護するとともに作品に対して安全なものを使わねばならない。特に、ヒンジやマット紙など作品に直接触れる材料は最も注意が必要。マット紙の場合は、リグニンなどの不純物を含まない中性紙をすすめている。② ブックマットにする中性テープを蝶番に使ったブックマット(下図)は作品に直接触れることなく安全に取り扱える。展示終了後は、額縁から作品を取り外して、保存箱に重ねて収納できる。省スペースと保存の両立が可能になる。(右図)③ 保存環境を整える保存額装とは、作品にとって安全な小環境を作り出すこと。しかし、保存環境が劣悪では意味がなくなる。特に、光(日光や照明から発生する紫外線)や温湿度の管理は重要。チリ、ホコリや害虫などにも気を配る必要がある。作品の収納ブックマットにした作品を保存箱に収納。額縁の部材フレーム: 枠、木製やアルミ製などがある。ガラス: 一般のガラスやアクリルガラスがある。低反射ガラスや紫外線カットガラスなどがある。ブックマット: ミュージアム仕様の中性紙材料を使う。リネンテープ: 麻布をベースにした中性粘着テープ。ヒンジ: 薄い楮紙など和紙を使うのが最も良い。バリアーペーパー: バックボードから出る強い酸性物質を中和する。アルカリの高い紙が推奨されている。バックボード: 合板やMDF(中密度繊維板)などが主。どのような保存対策があるか-5資料保存の実践

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