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16■資料の適性によって保存方法を選ぶ「どのように」保存するのか?アルカリに弱い資料の保存方法資料保存に利用する中性紙は、pH7.0前後~10.0までの中性から弱アルカリまでのものがある。アルカリ寄りの中性紙は、炭酸カルシウムなどのアルカリ物質を添加している。写真類、テキスタイル(染織品)などはアルカリに対して敏感なため、より中性(pH7.0)に近い包装材料を用いる。アルカリを含めない中性紙をノンバッファー紙と呼んでいる。民族資料にはさまざまな物質が複合されていることがある。判断がつかず疑わしい場合はアルカリなしの包材をすすめる。紙ベース資料写真資料テキスタイル考古・民族・自然科学資料参考文献: 『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』エドワード・P.アドコック編集 国立国会図書館訳(2003.7)青焼・ジアゾコピーなどダゲレオタイプ・ガラス写真・鶏卵紙・カラー写真・マイクロフィルムなどシルク製品・ウール製品・染織品など骨・皮革・昆虫標本など動物由来の資料でたんぱく質を含むもの写真の保存写真の保存にふさわしい包材は、PAT試験(Photographic Activity Test)に適合したものである。写真は環境の影響を最も受けやすい脆弱な資料といわれている。特に注意する点は、高い温湿度、汚染ガス、光である。保存環境の改善のためには、封筒や保存箱、ファイルなど品質の確かめられた保存用包材を採用することである。写真保存の注意点塩化ビニールや酸性紙などで作られた容器は使わない。支持体がTAC(セルロース・トリアセテート)フィルムの場合は、自ら発生する酢酸の影響を少なくするために、低温保存にする、密閉状態にしない、などの対策が必要。ガラス原板は低温保存に留意し、重ねて保存しないこと。カラー写真は白黒写真より劣化しやすいので、低温保存を心掛け、アルカリの強い容器は使用しない。アルバムに貼られたプリントは無理に剥がさない。ページの間に、ノンバッファー紙を挟み水平に保存する。どのような保存対策があるか-4資料保存の実践

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