貴重な資料を未来へ
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12保存ニーズの捉え方段階的な保存措置Phased preservation program大量の資料群全体の保存を考えるにあたって、まず全体的な調査をした上で、資料の状態をデータ化、処置の優先順位を決定し、保存プログラムによって段階的に保存処置を施していく方法。1966年のイタリア、アルノ川の氾濫によるフィレンツェの図書館や文書館の膨大な被災資料の救出活動のなかで生まれ、その後アメリカ議会図書館によりシステム化されていった。■保存方針の策定「なにを」保存するのか? 図書館や公文書館、博物館などには膨大な資料が保存されている。資料保存の始まりは、保存対策の優先順位をつけることである。段階的な保存措置3つの視点から資料をレベル分けする。下図の円の交わった部分を保存対策で最優先するのである。参考文献:木部 徹 『なにを選び、どう適用するか』  http://www.hozon.co.jp/report/kibe/kibe-no001-sentaku_tekiyou.html文書館用語集研究会編 『文書館用語集』  大阪大学出版会 (1997)1.必ず原物として残す。2.できるなら原物として原物保存の必要性を把握する。3.代替物でも良い。4.一時的に利用し、後1.かなりの傷みで、利用によって劣化が進行。モノとしての状態を調査する。2.多少の傷みはあるが、利用には差し支えない。3.利用には問題ない。1.かなり頻繁に利用。 利用頻度を把握する。2.たまに利用。3.稀に利用。残す。は廃棄。資料保存を何から始めるか-2(紙資料群を中心に)モノの状態モノの状態原物保存原物保存の必要性の必要性利用頻度利用頻度資料保存の実践

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