TTトレーディング: 2008年9月アーカイブ

テーマは『生活をうるおす和紙』―手漉き紙の多彩な展開―

 

和紙文化講演会を主催している和紙文化研究会は19895月にスタートし、今年で20周年になります。多彩な和紙文化をあらためて見直そう、と発足した勉強会です。月例会を中心に、和紙文化に関する調査研究と情報発信など、非営利活動を続けています。年一回、機関誌『和紙文化研究』の刊行とあわせ、広く一般に向け講演会を催し活動の成果を公開しています。

会員数は、企業が22社、個人が80名弱です。

 

washitukuri.jpg

写真は今年3月に刊行された『和紙つくりの歴史と技法』です。著者の久米康生氏は和紙文化研究会の代表。

 

 

石油化学製品が生まれていない時代には、和紙が衣食住のさまざまな場面で使われていました。今年の講演会では、書写材料以外の用途に使われた和紙の広がりを紹介します。

 

講演会概要

 

日時 平成201130日(日)10001700

会場 昭和女子大学グリーンホール

    東急新玉川線三軒茶屋駅下車 南出口より徒歩5

    JR渋谷バスターミナルより三軒茶屋方面行き 昭和女子大学前下車

参加費 一般3500円(機関誌『和紙文化研究』第16号および講演要旨集を含む)

定員 250

申込方法 参加費の事前払い込みによる受付

    郵便振り替え用紙に 住所 氏名 電話・FAX番号 専門分野もしくは所属を記入の

    上、参加費払い込み。

締め切り 1130

振込先 郵便振替口座:00170-8-402506 『和紙文化講演会』

事務局 〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8

    東京藝術大学 大学美術院研究科 保存科学気付

    第16回 和紙文化講演会事務局 稲葉政満

    東京藝大内 FAX 050-5525-2505

特設携帯電話 080-6730-8581(会期までの平日午後1時から6時まで)

    *会場の昭和女子大学へのお問い合わせはご遠慮ください。

 

講演プロブラム

940 開場

10001010 開会挨拶 大江礼三郎(東京農工大学名誉教授)

10101100 「日常の紙布、非日常の紙布」 北村春香

         (浜田市金城歴史民俗資料館学芸員)

11001150 「漆芸と和紙」 奥窪聖美(漆芸作家、日本工芸会正会員)

13201410 「越前美術紙―多彩な漉き模様の技巧」 石川満夫

         (越前和紙を愛する会会長)

14101500 「『千代紙』の変遷」近藤恭子(和紙文化研究会会員)

15301620 「生活を多彩にデザインした和紙」 久米康生(和紙文化研究会代表)

16201650 総合討議 座長:稲葉政満(東京藝術大学大学院教授)

16501700 閉会挨拶 半田正博

         (東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター教授)

 

*『和紙つくりの歴史と技法』

先行する和紙研究書を再考し、中国の紙史研究も重視して、より広い視野で和紙文化を客観的に考証する地道な研究会をかさね、会誌『和紙文化研究』を発行してきた「和紙文化研究会」(1989年創立)の研究の成果。従来の通説を正し、和紙つくりの技法と歴史をわかりやすく記述する。(岩田書院ホームページより)

 

A5判・206p・並製本・カバー装

発行日:20083

著者:久米康生

発行:岩田書院

http://www.iwata-shoin.co.jp/

定価:2,800円(税別)

 

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山梨県立博物館のバックヤードツアー

 

200510月に開館した山梨県立博物館は、2001年に基本設計、翌年から施工が始まりました。保存科学担当学芸員の沓名貴彦さんは、施工段階の2003年に博物館建設室に採用されました。日本の美術館・博物館では保存科学の学芸員を採用している館は少なく、中でも建設段階から採用している山梨県立博物館は、稀有な例です。

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筆者(神谷)は、7/129/1まで開催された県立博物館の夏期企画展「文化財を まもる しらべる つたえる」の関連イベント「バックヤードツアー」に沓名さんの案内で参加しました。ツアーは定員20名X4回開催され、毎回満員になりました。現場の意見が反映された博物館のバックヤードをレポートします。

 

 

 

 

 

■空気質と温湿度を徹底管理した収蔵庫

 

収蔵庫の周囲は廊下で囲まれており、外気の影響を受けにくい構造になっています。内装材には、極力収蔵庫内の環境を悪化させない材料を選定しています。例えば、非ホルムアルデヒド合板や、アンモニアガスを吸着・低減させるという「セラミック粉混入木繊セメント板」を使っています。他にも、床材には国産のカバザクラを、壁材にはヤニの発生が少ないスプルース及びケイ酸カルシウム板(調湿材)を主体とする複合パネルを採用しました。ボードやクロスを貼る接着剤や塗料にも、非ポリ酢酸ビニル系で有機溶剤を使わないアクリルエマルジョン系の合成樹脂やデンプン誘導体のみを用いました。

また、屋根については、直接日光による熱が建物に伝わらないためや、万が一雨漏りがしても建物内に水が入らないようにするため、屋根を二重構造にした置屋根と呼ばれる造りにしました。

 

収蔵庫には可能な限り資料にとって安全な材料を使っていますが、たとえばアンモニアガスを発生させるコンクリートなどは避けることができません。このときは、コンクリート打設を最優先で行い、乾燥期間を長く取り、ガスの低減を図りました。この乾燥期間のことは一般的に「枯らし」と呼ばれ、「コンクリート打設後から文化財の公開までの期間は、二夏の経過またはこれに相当する環境の実現が望ましい」(文化庁の指針)とされております。

 

さまざまな有害ガスには、活性炭を使った化学吸着フィルターを組み合わせ、ホコリを取り除くために中性能フィルターも付いています。おかげで、竣工後も東京文化財研究所が採用している各汚染物質の濃度基準**を下回ることができました。

 

庫内の温湿度は資料の材質に応じて24時間一定になるよう設定されています。温度は春秋の22℃を中心に夏は若干高め、冬は若干低めにしていますが、湿度は一年を通して5560%RHで管理しています。外気との温度差を少なくしつつ、できるかぎり省エネにしていますが、湿度の管理は厳格にしています。

 

■資料の種類や材質に応じた8つの収蔵庫

 

高気密・高断熱の収蔵庫は、「歴史・低湿度・自然・考古・フィルム・美術工芸・民俗・一時」の8種類に分けられています。

歴史収蔵庫では中性紙の封筒と保存箱を使い古文書を中心に保存しています。美術工芸収蔵庫には、木製やスチール製の棚などに仏像や掛け軸などが収められています。民具類は民俗収蔵庫に収蔵されています。湿気を嫌う金属製品は、低湿度収蔵庫にスチール棚やタンスを使って収納されています。

 

収蔵資料が倒れたり落ちたりしないよう地震対策を行いました。(図12

収蔵庫には、紫外線を発生させない照明を採用し、通路の空気が直接庫内に入らぬよう前室も設けています。

 

 図1  歴史収蔵庫  

rekisishuuzouko.jpg

 

       bijutukougeitana.jpg 

     図2 美術工芸品収蔵庫

 

上図のベルトはオーダーメイドで設置しました。

 

 

■トラックヤードと燻蒸庫

 

資料の搬入・搬出を行うトラックヤードは、シャッターを二重にし、建物外からの影響を最小限にしました。(写真) すぐ横には一時収蔵庫と燻蒸庫(写真)があります。搬入資料は、一時収蔵庫に収納ののち燻蒸し、それぞれの収蔵庫に収められます。

県立博物館は、県内各地の文化施設と結びつき、相互に連携する「ハブ博物館」の役割があります。市町村から依頼の資料を燻蒸することも前提にして、燻蒸ガスは酸化エチレン製剤を使っています。燻蒸は最小限にし、害虫トラップを仕掛けたり、毎日の手入れを実施しています。(IPMの導入***

 資料を上下させることによる危険性を少なくするために、博物館は平屋建てになっています。トラックヤードから収蔵庫へは、段差がなく通路がストレートにつながっておりバリアー フリーになっています。博物館の展示や収蔵などの各部門は、分散させないように配置しました。設計段階で、資料の動きを充分に考えたものです。

 

trackyard.JPG

トラックヤード 

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燻蒸庫

■その他の施設

調査・研究の施設にはX線検査装置(写真)を導入、甲府市善光寺の重要文化財、阿弥陀三尊像や甲斐の金山の調査などにも使われました。(神谷)

 

labo.jpg 

X線検査装置

 

 

「人間と違って文化財はモノを言うことが出来ない。そのため、文化財の変化(劣化)に気づいた時点ではもう遅いのである。だからこそ、博物館建設に携わる人間は、空気環境が文化財に及ぼす影響の重大性を改めて認識し、建設以前から博物館内の空気環境を見据えた設計や工法、建材の研究開発により一層力を注ぐ必要があるのではないか」

(沓名貴彦 『パッション』第31号 200711月、金剛株式会社)

 

 

*山梨県立博物館 : http://www.museum.pref.yamanashi.jp/index.html

406-0801 山梨県笛吹市御坂町成田1501-1 TEL 055-261-2631 FAX 055-261-2632

図録 『山梨県立博物館企画展 文化財を まもる・しらべる・つたえる』

(B5変形版、93p、2008年7月12日発行 840円)

 

yamanasizuroku080902.JPG 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**文化財保存のための各汚染物質の濃度基準(東京文化財研究所、数値は推奨濃度)

アンモニア(アルカリ性物質)・・・30ppb以下

ホルムアルデヒド・アセトアルデヒド・・・40ppb以下

酢酸・ギ酸(有機酸)・・・200μg/㎥以下

(沓名貴彦 「博物館建設における環境整備に関する研究」『山梨県立博物館研究紀要』第1集 2007

 

***IPM(Integrated Pest Management 総合的有害生物管理)

愛知県美術館の例(pdf 576KB) : http://www-art.aac.pref.aichi.jp/images/nagaya.pdf

 

 

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anne frank.jpgアンネ・フランク財団が管理・運営している記念館「アンネ・フランクの家」(オランダ・アムステルダム)では、このほどアンネの隠れ家(Secret Annex)の壁を飾った写真や雑誌の切り抜きなどを修復し公開することになりました。

 

アンネ・フランクは1929年生まれ、ナチスから逃れるため1942年に父オットーらとアムステルダムで潜行生活に入りました。1944年にゲシュタポとオランダ・ナチスに捕まり強制収容所に送られ1945年に15歳で亡くなりました。隠れ家で書かれた『アンネの日記』は各国語で翻訳され、世界中で読み継がれています。アンネ・フランクの家は、1960年に公開され年間100万人が訪れています。

 

 

アンネの寝室の壁に貼ってあった映画スター、グレタ・ガルボの写真やイギリスのエリザベス女王の絵ハガキなど74点の資料は、記念館開設後50年近く経ち劣化が進行しているため、修復に取り掛かりました。特に木材パルプをベースにした紙資料は、劣化が著しい状態でした。1998年に修復計画が立案され、今年8月に修復が完了しました。原物の修復だけでなく、照明を交換したり、温湿度も24時間一定にするよう設備を導入しました。今回の修復には、the Netherlands Institute for Cultural HeritageEindhoven University of Technologythe Getty Conservation Institutethe Canadian Conservation Instituteなど各国の保存機関が参画しました。

 

アンネ・フランクの家:

http://www.annefrank.org/content.asp?pid=1&lid=2 (英語)

 

修復のページ:Pictures in Anne Frank's room preserved for future generations

修復の詳しい内容を掲載。

http://www.annefrank.org/content.asp?PID=857&LID=2 (英語)

 

 

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古文書講習会「文化財になった公文書」開催

 

odb-get.jpg914日(日)に、小山市立博物館で講習会「文化財になった公文書」が開催されます。埼玉県は今年3月に、明治から戦前期の行政文書群7,971点を有形文化財に指定しました。戦前の文書は、紙質が悪く劣化が進んでいるものや、青図・「こんにゃく版」など退色しやすい資料類が多く、コピー利用にも制限が必要でした。現行の公文書館法ではこれら資料の管理が徹底できないため、文化財保護法を活用して管理することにしたものです。

 

「県が文化財指定すれば、戦前期の市町村資料も、自治体合併後に残すことができます」(埼玉県立文書館 新井浩文さん)

 

講習会では、文化財指定されるまでの詳しい経緯の解説があります。(神谷)

 

 

日 時:2008914日(日)14001600

場 所:小山市立博物館 視聴覚室

テーマ:古文書講習会「文化財になった公文書」

発 表:埼玉県立文書館 主任学芸員 新井浩文

定 員:50

申 込:小山市文書館(下記、講習会案内参照)

 

 

*こんにゃく版 : メチルバイオレットという紫色のインクで書いた紙を、こんにゃくの面に押し付けてインクを乗せ、湿った用紙に転写させる印刷方式。わが国では、明治10年代から官公庁を中心に使われていた。

 

文化財紹介 埼玉県行政文書のページ :

http://www.city.saitama.jp/www/contents/1208310290329/index.html

 

講習会案内のページ:

http://www.city.oyama.tochigi.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AC020000&WIT_oid=icityv2::Contents::8239

 

 

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