著者は、神戸大学大学院人文学研究科教授、同大学地域連携推進室室長で歴史資料ネットワーク代表委員をつとめています。本書は、著者が関わっている歴史資料ネットワークの活動の中から生まれました。内容の多くは、日本史研究会や歴史学研究会、歴史科学協議会などの学界向けに発表した論考をまとめたものです。
著者は、17年前の阪神・淡路大震災をきっかけにして歴史資料保全(歴史資料ネットワーク)に関わったといいます。2011年3月11日に東日本大震災が発生し、歴史資料ネットワークでの経験をできる限り早く、整理した形で歴史関係者に伝えることが重要であると考え、本書を書き上げたそうです。
(文責 神谷)
『大震災と歴史資料保存』
著者: 奥村 弘
発行日: 2012年1月30日
判型: A5判、230p
ISBN:: 9784642038102
発行: 吉川弘文館
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b96120.html
定価:: 3,200円(税別)
歴史資料ネットワーク(史料ネット):
http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~macchan/
内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はじめに
序章 阪神・淡路大震災から東日本大震災へ
はじめに―未来を語るための基礎学としての歴史学と二つの大震災
1歴史資料保全活動とそこでの試行錯誤の重要性
2歴史的に社会を捉える市民の力を強めることの重要性
第Ⅰ部 大規模自然災害における歴史資料保全のあゆみ
第1章 大規模自然災害と地域歴史遺産保全
はじめに
1阪神・淡路大震災後の歴史資料保全活動と史料ネットの活動
2地域歴史遺産の保全と活用のために
おわりに
第2章 現代都市社会の歴史意識と歴史学の課題
はじめに
1なぜ歴史意識を問題とするのか
2近代都市形成と歴史意識をめぐって―「モダン」な都市神戸という虚構
3戦後の歴史資料保存運動から
おわりに
第3章 時代が求める歴史研究のあり方とは
はじめに
1震災後のボランティアと史料ネットの活動
2歴史資料と歴史研究のあり方をめぐって
3歴史学の実践性と主題の発見
4災害文化形成と「国民国家」批判の歴史学
おわりに
第Ⅱ部 震災の記憶を未来につなぐ―災害資料の保存活用
第1章 震災資料の調査保存活用―歴史文化の基礎をどうつくるのか
はじめに
1初期の史料ネットの動き
2図書館などの震災資料の収集保存活動と市民による震災記録
3震災史料収集保存活動への史料ネットの具体的な取り組み
4震災資料収集保存活動の困難
5震災史料調査・収集・保存の展開
6「阪神・淡路大震災記念協会」と「震災・まちのアーカイブ」の発足
7記念協会の大規模震災資料調査事業の開始
おわりに
第2章 人と防災未来センターの開設と大震災資料保存の現況
はじめに
1人と防災未来センター所蔵震災資料の公開、活用をめぐって
2神戸大学大学院人文学研究科地域連携センターでの震災資料研究の展開
第Ⅲ部 災害に強く、豊かな地域歴史文化を生み出すために
第1章 市民社会形成の基礎学としての歴史研究の今日的位置
はじめに
1市民社会形成の基礎学としての「戦後歴史学」
2課題の共有を意識的に追究することの困難性
3歴史的な社会把握に対する市民レベルでの関心と力量の拡大
4地域歴史遺産への取り組み
おわりに
第2章地域歴史文化における大学の役割
はじめに
1神戸大学における地域連携の特質について
2持続性を重視する各部局地域連携センター中心の組織
3小野市との地域歴史文化についての取り組み
おわりに
補章 被災資料が語る地域の近代―元尼崎藩大庄屋・岡本家文書から
はじめに
1村用箪笥のなかの岡本家文書
2青野水源池設置問題
おわりに
あとがき
参考文献一覧
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