文献: 2011年3月アーカイブ

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20107月から3回にわたり開催された「歴史公文書等保存方法検討有識者会議」(以下会議)は『紙媒体の歴史公文書等の保存方法検討報告書』(以下報告書)を国立公文書館のサイトに公表しました。会議では、歴史公文書等の保存を目的とする代替物の在り方について、国立公文書館による代替物作成後も紙媒体の原資料を保存し続けることを前提に以下の結論を出しています。

 

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1.原資料の保存状態、内容、利用頻度等に応じて、代替物作成の方法・媒体を適切に使い分ける取組みを今後も継続していく。

2.紙媒体のスキャニングによるデジタル化を新たに採用する。

3.原資料の保存状況や利用頻度に応じて媒体を選択することとし、保存状態が比較的良好な場合は、デジタル化による代替物作成を基本とし、急速に劣化が進んでいるものや今後劣化が進行するおそれがあるものについては、マイクロフィルム化による代替物作成を基本とする。

4.デジタル化により代替物を作成する際には、紙媒体の歴史公文書等の価値を維持するための技術、規格、仕様等に準拠する。また、仕様等の策定には国内外の先行事例や標準化等の取組みを参考に行う。

5.マイクロフィルム化により代替物を作成する場合、スキャニングにより作成したデジタルデータを、マイクロフィルム及びデジタル媒体の両方で保存するCOM/COLDの採用についても、国際標準規格のISO11506を参照し、コスト及び保存の観点から比較の上、検討を行う。

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報告書によると、デジタル媒体の適切な保存・管理には、メタデータや保存媒体、保存環境に加え継続的な維持管理について、さらに検討する必要があるとしています。また、公文書館が2011年度に開始する電子公文書等の移管・保存・利用にかかわる取り組みの成果も可能な限り活用していくということです。(文責 神谷)

 

紙媒体の歴史公文書等の保存方法について:

http://www.archives.go.jp/news/110315_01.html

 

 

 

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紙の博物館の機関紙「百万塔」第138号(2011228日発行)に安江明夫氏が「書籍を変革したコンサバター」を寄稿しています。安江氏は元国会図書館副館長で学習院大学非常勤講師です。

 

コンサバター(保存修復家)のウィリアム・バロー(1904-1967、以下バロー)は近代の書籍用紙の寿命の短さや問題の規模を予測し、紙中の酸性成分が原因であることを50年以上前に報告書にしました。彼は、紙の酸性化の原因を突き止めるだけでなく、酸性紙にアルカリ成分を加えて中和させる「脱酸」やパーマネント・ペーパー(耐久性の高い用紙)も開発。

 

バローが1959年と1960年に出した報告書を契機に、1985年に米国国家規格「印刷図書館資料のための紙の耐久性」(ANSI Z39481984)に制定され、その後のISO規格にも反映されています。

 

中性紙の普及に果たしたバローの業績や、国家規格に制定されるまでの米国議会図書館副館長(当時)のバーナー・クラップや図書館振興財団第3代理事長のワレン・ハースらの功績にも安江氏は触れています。日本では、米国の経緯をもとにして1982年に日本書籍出版協会の職員であった金谷博雄氏が『本を残す―用紙の酸性紙問題資料集』を自費出版し、酸性紙問題がマスコミなどで取り上げられ、今日の中性紙の普及につながっています。

 

「中性サイズ剤の開発もパーマネント・ペーパーの概念確立もアメリカの先人達の努力の賜物である。それらの努力がなければ日本での進捗は有り得なかった。この点は肝に銘じておきたい。」と、論文の中で安江氏は述べています。

 

バローの報告書は下記の2冊で、金谷博雄氏の『本を残す―用紙の酸性紙問題資料集』とともに紙の博物館図書室に収蔵されているそうです。(文責 神谷)

 

"Deterioration of Book Stock. Causes and Remedies. Virginia State Library, 1959"

"The Manufacture and Testing of Durable Book Papers. Virginia State Library, 1960"

 

紙の博物館:

http://www.papermuseum.jp/

 

機関紙「百万塔」は年3回発行。定価700円、送料210円です。

http://www.papermuseum.jp/shop/book.html

 

 

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