著者は京都造形芸術大学 歴史遺産学科の准教授で、絵画や書跡、古文書の材質構造、技法、修復に使用する材料や技術、想定の歴史、様式などを中心に研究しています。以前に勤めていた修復工房時代の1991年に東京富士美術館写真コレクションの保存事業に携わったことが写真保存との出会いです。2007年1月に開催された、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会資料保存委員会・近畿部会の例会での発表が本書を執筆するきっかけになったといいます。
「なぜ写真を残すのか」という話に始まり、事前の調査票の作成、写真(プリント)の種類識別、劣化や損傷、保存環境の整備から修理にいたるまで、写真保存の実際を具体的に解説しています。後半ページにはプリントの劣化や修理の豊富な事例をカラー図版で解説。
写真の保存・修復を実際に手がけた多くの経験の中から、さまざまな保存対策が初心者にもわかりやすい形で書かれています。たとえば、「修理・処置」の項目では、物理的な劣化・損傷に対する処置として、「本紙欠失/膜面欠失」や「破れ」、「折れ」などに対する具体的な修理・処置が紹介されています。
著者から:「写真保存の実務がテーマなので、現場ですぐに使えるような内容にしました。写真の保存というと、どうしても技術にかたよりすぎてしまうので、技術を適用するための前提である「何のために写真を保存するのか」にページを割きました。この本はプリント写真を対象にしていますが、近い将来、ガラス乾板などネガの保存についてもまとめてみたいと思います。」(大林賢太郎さん)
(文責 神谷)
主な内容---------------------------------------------
まえがき
序 章 「写真を保存する」とは
第1章 調査票の作成
第2章 プリントの種類の識別
第3章 写真の劣化・損傷
第4章 写真の保全
終 章 再び「写真資料を保存する」とは
写真図版(図表)
コンパクト解説
参考文献
あとがき
『写真保存の実務』
大林賢太郎 著
ISBN978-4-87294-595-9 C0014
2010年1月発行 初版1,200部
A5判、127p
岩田書院



