
日本で、「害虫」という言葉が使われるようになったのは20世紀になってからで、化学殺虫剤の利用も第一次大戦以降と意外に歴史は浅いという。(『害虫の誕生』瀬戸口明久、ちくま新書2009.7)
―本書は、やみくもに化学薬剤を使用して、瞬時に有害生物を致死させることを希求するのではなく、まず、「カビとは何か?昆虫とは何か?」といった基礎知識を持ち、状況に合わせて適切に対処することが「IPM」の第一歩であると考えています。―(まえがきから)
内容の前半は、カビや昆虫、ダニの基礎知識と検査法について詳述し、後半をIPM(Integrated Pest Management :総合的有害生物管理)に割いています。温度・湿度の管理やIPMの手順、薬剤および薬剤以外による対策など、IPMの観点からさまざまな対処法を述べています。最終章では建築的対策にも言及。
保存の現場で実際に使ってみて効果のあった検査法や機器類なども豊富な写真とともに紹介しています。(文責 神谷)
著 者:川上裕司 杉山真紀子
発行所:雄山閣 http://www.yuzankaku.co.jp/ (掲載時点では新刊案内には載っていません)
発行日:2009年8月31日、A4判、174p 定価4,000円(税別)
主要目次-------------------------------------------------------------
第1章カビの基礎知識と検査法
カビの語源と種類数/カビの分類/カビの形態と特徴/カビの生態/カビの検査に必要な器具・機材と培地/絵画・紙作品などのカビ検査法/展示室・収蔵庫のカビ検査法/カビの培養と同定検査法/博物館や美術館の作品・収蔵庫・展示室で分離されるカビの特徴
第2章昆虫およびダニの基礎知識と検査法
昆虫やダニについての基礎知識/昆虫の分類/昆虫の形態/昆虫の生態/昆虫およびダニの調査と同定検査
第3章IPMとは?
世界の美術品・文化財保存の歴史/IPMのはじまり/IPMはチームプレー/IPMの利点
第4章カビ・害虫対策~IPMの実践~
温度と湿度/IPMの手順
第5章薬剤による対策
薬剤を使用する理由/成分と種類/防虫剤/生態的防除薬剤/昆虫成長制御剤/認定薬剤の一覧表/
第6章物理的な対策~薬剤以外の方法~
温度による殺虫/低酸素濃度によるカビ・害虫防除/照射法―電磁波―
第7章IPMに適した建築的対策
開口部/空気調和設備/収蔵庫/展示室/外回り、庭園
参考文献/索引
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その他、博物館・美術館のIPMに関する近年の出版物は下記の通り。
・『文化財害虫カード改訂版』編著者:東京文化財研究所、発行所:クバプロ、発行日:2009/07、A4判厚紙4枚 定価:700円(税別)
・『文化財生物被害防止ガイド DVD』編著者:東京文化財研究所、発行所:クバプロ、発行日:2004/08、A5判、収録時間:57分 定価 4,200円(税別)
・『文化財保存環境学』著者:三浦定俊・木川りか・佐野千絵、発行所:朝倉書店、発行日:2004/12、A5判、212p 定価 3,800円(税別)
・『文化財害虫事典―博物館・美術館におけるIPM(総合的害虫管理)推進(2004年改訂版)』著者:東京文化財研究所、発行所:クバプロ、発行日:2004/04、B5判、231p 定価5,000円(税別)
・『博物館の害虫防除ハンドブック』著者:杉山真紀子、発行所:雄山閣、発行日:2001/01、A5判、218p 定価:2,800円(税別)
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