この本は、沖縄県公文書館のアーキビストである著者がアメリカ国立公文書館(NARA)で沖縄関係資料の調査・収集業務に携わった経験をもとに書いた調査のためのガイドブックです。
新聞の一面に載る「戦後第一級の資料発見」という記事は、ほとんどが米国発です。戦後の外交史を調べようとすると、日本側の公文書は肝心な部分が未公開であることが多いからです。福田首相が官房長官時代に、終戦後の写真を地元の人に頼まれた際、日本国内では見つからず、たまたま行ったワシントンのNARAで簡単に見つかったという逸話があります。この経験は、「(仮称)文書管理法」の制定に向けた「公文書館の在り方等に関する有識者会議」のきっかけにもなりました。
NARAは、起案文書だけでなく、電信文、手書き草稿、電話記録、Eメールまで公開しています。しかし、収蔵資料は文書だけでも総延長1,050キロメートルと膨大で、データベース化がされている資料も一部だけです。ファイリング・システムがレコード・グループによってまちまちで検索は容易ではありません。
米国での調査の前に、日本国内の図書館やNARAのウェブサイトを利用した事前調査が大切である、と彼は言っています。マイクロ化資料など、現地に赴かなくてもリサーチ可能な資料が国内にもあるからです。ガイドブックには、旅の手配から事務手続き、アーキビストとのやり取りに始まり、資料のコピーやスキャンの方法など、誰もが直面する問題が取り上げられ、実践に裏付けられたノウハウが詰まっています。
また、沖縄県公文書館だより「ARCHIVES」に連載された「アメリカ通信」がもとになっているコラムのページも読み応えがあります。
著者は、資料の調査・収集の仕事を鉱山の探査隊に例えています。鉱脈(資料群)を探し当て、加工する人(研究者)に、資料のありかを知らせるという役割です。
このような「攻略本」は米国にも例がなく、NARAのマイケル・J・カーツ館長補も推薦しています。
『研究者のための アメリカ国立公文書館徹底ガイド』
ISBN:978-4-7736-3212-5
229p、A5 判
著 者:仲本和彦
発行日:2008年6月23日
発 行:凱風社
定 価:(本体 2,500円+税)
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