2008年7月アーカイブ

(株)プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン(社長 岡田曠吉)は20074月に設立され、「ブックキーパー法(BK法)」という大量脱酸システムを20083月に稼働しました。本社工場は埼玉県さいたま市にあり、建坪100坪弱(写真12)で、スタッフは4名です。

国内では1998年に日本ファイリング(株)が開発した、乾式アンモニアと酸化エチレンによる「DAE法」に次いで二例目になります。DAE法は、ガスによる脱酸法では世界初の本格導入例です。

 

ptj1-2.jpg■ブックキーパー法とは

脱酸技術は、「水性処理」と水以外の液体や固体を使う「非水性処理」、「ガス処理」の三つに分けられます。BK法は「非水性脱酸処理」の一種で、酸化マグネシウムの微粒子を分散させたフルオロ・カーボンの処理液に紙資料を浸して中和させる方法です。

 

紙や色材の変色がない、インクやスタンプ印がにじまない、毒性や臭いがなく、人体にも無害などの特徴があります。紙のpHを89.5に上昇させ、アルカリ残留により紙の寿命を35倍に延ばすことが期待できます。

 

BK法は、プリザベーション・テクノロジーズ、L.P.社(米国 ペンシルバニア)で1992年に初めて稼働し、2001年に米国議会図書館が正式承認した技術です。以後カナダやオランダ、ポーランドやスペインにも工場が設置されています。

 

 

 

 

 

  ■処理工程は

 

工場では、専用のプラスチックコンテナ(写真3)により搬入された資料を点検・登録し、以後返却までの工程はバーコードで管理。必要であれば、事前に資料の脆弱な部分の補強や簡易補修も行います。

 

脱酸方式は三つあり、資料の形状や状態に合わせて適用しています。

一つは、「垂直型トリーター」と呼ばれるもので、1224冊の図書を約30分かけて中和処理し、一日に200冊程度の処理が可能です。(写真45) 

一方、薄い資料などは、専用カセットホルダーに入れ、「水平型トリーター」を使います。(写真67) 約90分の乾燥後、仕上・点検します。

大型のものや脆弱な資料はハンドスプレーを使い中和します。

資料には、テストペーパーを挿入し、処理後のpHやアルカリ残留も確認。

預かった資料は、終了後に年月日を記した証明シールを貼付しユーザーに返却されます。

  

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7suiheitori-ta.jpg 

 

「処理費用は、輸送費・消費税別で一冊2,3002,550円です。補修処置には、一冊2,0008,000円かかります。3月の稼働後、約5,000冊の資料を処理しました」(横島文夫専務)

■その他

 

同社では、少量脱酸用にハンド・スプレー・システムや脱酸液を販売しています。温湿度調査や害虫モニター、汚染ガス測定なども業務にしており、よりよい保存環境へのアドバイスも行っています。(神谷)

 

プリザベーション・テクノロジーズ、L.P.(英語) : http://www.ptlp.com/

プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン(日本語) : http://preservationtechnologies.jp/overview-jp.html

 

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NARAguide.jpgこの本は、沖縄県公文書館のアーキビストである著者がアメリカ国立公文書館(NARA)で沖縄関係資料の調査・収集業務に携わった経験をもとに書いた調査のためのガイドブックです。

  

新聞の一面に載る「戦後第一級の資料発見」という記事は、ほとんどが米国発です。戦後の外交史を調べようとすると、日本側の公文書は肝心な部分が未公開であることが多いからです。福田首相が官房長官時代に、終戦後の写真を地元の人に頼まれた際、日本国内では見つからず、たまたま行ったワシントンのNARAで簡単に見つかったという逸話があります。この経験は、「(仮称)文書管理法」の制定に向けた「公文書館の在り方等に関する有識者会議」のきっかけにもなりました。

 

 

 

NARAは、起案文書だけでなく、電信文、手書き草稿、電話記録、Eメールまで公開しています。しかし、収蔵資料は文書だけでも総延長1,050キロメートルと膨大で、データベース化がされている資料も一部だけです。ファイリング・システムがレコード・グループによってまちまちで検索は容易ではありません。

 

米国での調査の前に、日本国内の図書館やNARAのウェブサイトを利用した事前調査が大切である、と彼は言っています。マイクロ化資料など、現地に赴かなくてもリサーチ可能な資料が国内にもあるからです。ガイドブックには、旅の手配から事務手続き、アーキビストとのやり取りに始まり、資料のコピーやスキャンの方法など、誰もが直面する問題が取り上げられ、実践に裏付けられたノウハウが詰まっています。

 

また、沖縄県公文書館だより「ARCHIVES」に連載された「アメリカ通信」がもとになっているコラムのページも読み応えがあります。

著者は、資料の調査・収集の仕事を鉱山の探査隊に例えています。鉱脈(資料群)を探し当て、加工する人(研究者)に、資料のありかを知らせるという役割です。

このような「攻略本」は米国にも例がなく、NARAのマイケル・J・カーツ館長補も推薦しています。

 

『研究者のための アメリカ国立公文書館徹底ガイド』

ISBN978-4-7736-3212-5

229p、A5

著 者:仲本和彦

発行日:2008623

発 行:凱風社

http://www.gaifu.co.jp/

定 価:(本体 2,500+税)

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(株)パレットが上野に移転しショールーム開設

paretshowroom.jpg保存修復用品商社の(株)パレット(社長 長谷川雅啓)は6/2(月)に、足立区小台から台東区上野桜木2丁目に移転しました。新事務所にはショールームを開設し、膠や接着剤など一部製品を店頭販売もしています。(写真)

  

取扱品は、絵具と修復用品で有名なスイスのラスコー社製品をはじめ、接着剤や樹脂、充填剤からポリエステルフィルム、特殊シートなど国内外からセレクトした材料です。このほかにも、pHチェックペンや試験紙、クリーナーや保存の用紙や容器なども扱っています。修復用機材では、電気コテや熱風機、アイロンのような小型の機器からサクションテーブルやリーフキャスティングなど大型機器まで扱っています。200種類以上の製品を掲載したオンラインカタログがあり、まもなくオンラインショップも稼働予定です。

 

  長谷川氏は北海道出身で、高校時代に見たイタリアのシスティーナ礼拝堂のフレスコ画修復記録や東大寺南大門の仁王像解体修理などの放送に啓発されて、修復の分野に関心を持ったという。遺跡や出土品にも興味があり、イタリアのタルクィニアで行われた発掘調査に参加したことがきっかけで、この世界に入り、ネット上のサイト「修復家の集い」*を通じて保存修復材料を扱うようになりました。欧米先進国には多くの修復用品商社がありますが、日本では数少ない貴重な存在です。

 

paretbuilding.jpg「今後の課題は、取り扱い修復材料の分析と情報提供、日本では知られていない絵具を紹介していくことです。ご相談にも丁寧に対応し、今までに得た知識と情報、人脈を駆使して、皆さまのお役にたつ会社に発展させていきたい」(長谷川氏談)

 

営業時間は、平日10001800で土日・祝日も事前予約があれば受け付けます。(神谷)

 

(株)パレット : http://www.paret.jp/

110-0002 東京都台東区上野桜木 2-10-3 MSビル4F

電話:03-5815-4061 / FAX:03-3828-1582

 

 

 

 

 *修復家の集い : http://www.shufuku.gr.jp/

前身は、文化財保存修復学会の大会で出会った人たちの集まり。1993年にスタートし、翌年にはニュースレター「しゅうふく事情」を発行。(96年に終刊) 迅速な情報交換を目的に97年に同名のウェブサイトを立ち上げ、その後現在のサイト名になったもの。

美術品や工芸品などの修復情報サイトで、メディア情報、講演会情報などのニュースや「フリートーク」という情報交換などのページがある。(神谷)

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