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HOMEデジタルもんじょ箱保存対策事例>清里フォトアートミュージアム(K・MoPA) 写真の保存と収蔵環境について

保存対策事例

保存対策事例 第4回(2009.01.20) ▲保存対策事例トップへ
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA) 2/3 写真の収蔵環境

K・MoPAの展示・収蔵環境〜温湿度

写真の保存環境で重要なのは適切な温度と湿度を保つこと、酸やアルカリに弱いため中性環境を維持すること、です。

K・MoPAの建物が完成したのは95年6月。2つの展示室と前室つき収蔵庫を備えています。標高1000mに位置し、年間の外気温・湿度変化が激しく、夏は30℃、冬は−10℃、夏の相対湿度は高いときには90%になります。
収蔵庫の温湿度は、JISやISOの規定*と装置の条件などにより、通年で20℃、50%RHと定めました。温湿度センサーを各室に設置し計測しています。竣工後、6ヶ月で安定が得られました。

展示室は20〜25℃で管理していますが、扉がないため季節・天候によって応急的対応をしています。湿度の調整は空調設備の関係で難しく、春秋期30〜50%RH、夏期50〜60%RH、冬期20〜40%RHで推移しています。

中性環境にするために

また、新設の建物躯体から出るアルカリ性ガス、酸性ガスを除去する必要がありました。収蔵庫・前室の床・壁面・棚にガスを吸着するダンボール紙を敷き詰めました。最初の2年は空気循環系にアルカリと酸性ガスの吸着フィルターをつけて環境モニター**を計測しましたが、アルカリ側・酸性側の変動の繰り返しを経て約3年で中性環境になり、作品を収蔵できました。

・環境モニタリングの試験紙をつくる

▲10mm角のろ紙に検定液を含ませる

▲余分な検定液を取り除く

・試験紙をつるす ・確認する

▲高さ1.5mの位置につり下げ一昼夜放置

▲基準色票と試験紙の色を比較


現在も月に1度収蔵庫と展示室で環境モニタリングを行っています。基準色票は中性を示しています(左が酸性、右がアルカリ性)。

写真の保存について詳しくは
弊社HPデジタルもんじょ箱・保護紙入門
「中性紙だったら何でもよい?」
をごらんください。

*現像処理済み写真印画の長期保存を目的とする温湿度条件
黒白印画:15〜20℃
カラープリント:2℃以下
相対湿度:30〜50% が好ましいとされる。
また、温湿度変動は最小にすることが必要で、1日の周期的温度変動は4℃以内とされる。




**保存環境モニタリングシステム
独立行政法人 文化財研究所・東京文化財研究所監修
保存環境の簡易計測システムで、コンクリートが放出するアルカリ性ガスあるいは木材から放出される酸性ガスによる空気汚染の検出に有効。


収蔵設備と方法

収蔵・展示する場合、材質が写真に影響を与えないよう、K・MoPAでは展示室および収蔵庫の内装・照明・棚・包材・フレームなどに写真活性度試験*(PAT)に適合したものを採用しています。

*写真活性度試験(PAT= Photographic Activity Test) 写真の包材や接着剤が、写真画像の濃度に与える影響、汚染の発生をシミュレートし、適否を判定します。


・収蔵庫

▲内装・棚・照明などPATに適合

▲落下防止の柵を棚に後付けした

・中性紙(PATに適合)の保存用品で保護

▲ストレッジボックスとブックマットで小環境をつくり写真を保存

▲無酸のグラシン紙を間紙として用いている



作品を保護するブックマットは全て田村氏の制作。PATに適合したマットボードを用い、作品にあわせて窓を切りセットし保存します。展示をする場合は、ブックマットごと額に入れるため作品の物理的な損傷を防ぐことができます。


収蔵・展示環境についての課題

K・MoPAの収蔵・展示環境についての課題を伺いました。
当館の立地では排ガス問題はありませんが、昆虫が侵入してくることがあります。写真への影響からくん蒸ができませんので、次の対策を行っています。

・目視による害虫の発見、駆除
・微小塵埃吸入掃除機による入念な清掃
・搬入口・収蔵庫前室に昇華型駆虫剤を置く
・虫の発見・捕獲・処理を記録

(3へつづく)

▲写真展示室
・額縁のフレームは作品によってアルミ製、木製の使い分けをしている。
(いずれも美術館仕様の品質の高い製品)

・ガラスは、巡回展や大型作品向けに「UVカットの低反射アクリル」を、比較的小さな作品は、「UVカットの低反射ガラス」を使っている。













クリーンルーム用のULPAフィルタつきの掃除機で清掃している。

ULPAフィルタ:粒径が0.1μm以下の粒子をも捕獲するフィルタ。HEPAフィルタよりも能力が高く半導体工場や医療機関で使われている。

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