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HOMEデジタルもんじょ箱保存対策事例>清里フォトアートミュージアム(K・MoPA) 写真の保存と収蔵環境について

保存対策事例

保存対策事例 第4回(2009.01.20) ▲保存対策事例トップへ
清里フォトアートミュージアム(K・MoPA) 1/3 清里フォトアートミュージアムについて
清里フォトアートミュージアム(以下K・MoPAと記載。読みはケイモパ)は1995年に開館しました。従来の写真美術館にない役割を担おうと、「生命(いのち)あるものへの共感」をメインテーマに、主に1900年以降の写真作品を蒐集・展示・保存しています。

今回は、K・MoPAの学芸員・田村泰男氏に写真の保存と収蔵環境について伺いました。

プリントへのこだわり

まず、コレクションの範囲をプリント作品に絞っている理由をたずねました。
当館では、ヴィンテージ・プリントにこだわっています。これは、館長である細江英公の考えです。写真家が自らプリントし最終形態まで仕上げたものには、作者としての思いがこもっており、時を経てオーラを持つ、と。私たちは、作品が持っている空気を購入時のまま、伝えるよう努めています。作品の長期保存は、重要な課題のひとつです。


K・MoPAの基本理念とコレクション

K・MoPAには3つの基本理念があります。
「生命(いのち)あるものへの共感」「永遠のプラチナ・プリント」「若い力の写真:ヤング・ポートフォリオ」です。
「生命(いのち)あるものへの共感」というメインテーマのもとに当館のコレクションは7900点以上になります。そのうち、ゼラチン・シルバー・プリント(銀塩写真)、ダイトランスファーなどの1900年以降の作品が約3200点。

「プラチナ・プリント」とは、白金(プラチナ)を用いて焼き付けたものです。黒のしまりがよく、白から黒までのグラデーションの幅が広く、色調が非常に美しいのです。また、白金は化学的に安定しているため耐久性に優れています。当館では、プラチナ・プリントの古典および現代作品の収集と技法の継承を基本理念に掲げ、約500点所蔵しています。

「ヤング・ポートフォリオ」は、35歳以下の写真家を対象に作品を全世界から公募し、K・MoPAの永久コレクションとして購入することで若い力の支援をする、という世界でも例のない企画です。購入作品数は年間約300点で、現在約4000点になります。




▲細江英公「おとこと女 #20」
1960年 (C) HOSOE Eikoh

<プラチナ・プリント>

▲ピーター・ヘンリー・エマーソン
「ノーフォーク湖沼の生活と風景」より
1886年

<ヤング・ポートフォリオ>


▲全 敏洙(韓国、1975〜)
[Image Korea] 2003年 (C) Jun Min Soo

画像の無断転載を禁じます。

K・MoPAの活動

K・MoPAでは、常設展は行わず年に2回または3回の企画展を行っています。そのうち1回は、毎年開催されるヤング・ポートフォリオで永久コレクションとした作品を展示。そのほか、K・MoPAならではの視点とテーマで写真の魅力や楽しさを伝える収蔵作品展や、人・自然・宇宙をテーマにした企画展を開催しています。

2008年度は、プラチナ・プリントの第一人者、井津建郎氏の個展―ブータン 内なる聖地―を開催しました。
プラチナ・プリントは写真の引き伸ばしができません。井津さんは世界の石造遺跡を撮影していますが、4×5では撮り切れないとカメラとフィルムを特注しました。フィルム・サイズは14×20インチ(35cm×50 cm)で、機材の総重量は130kgにもなるそうです。

井津さんの個展は今回で3回目です。今後も現代作家のプラチナ・プリントを紹介してゆきたいと思っています。

企画展にあわせて、ワークショップも開催されています。プラチナ・プリントや、ピンホールカメラのワークショップ、また地の利を生かした野外観察・撮影会や、星の観測など。写真と親しみ、楽しさを膨らます普及活動を行っています。年間の来館者数は約1万人です。

ミュージアムは写真の素晴らしさを発信し、写真作品をまもる蚕の「まゆ」のようでありたい…と設立当初から考えられていました。 そのため、所蔵作品の長期保存は K・MoPAにとって重要な課題として位置づけられ、建物の設計段階から展示室、収蔵庫に関して検討が重ねられました。

(2へつづく)

▲井津建郎個展「ブータン 内なる聖地」
2008年6月28日〜2009年1月25日
25年にわたり石造遺跡を撮り続けてきた井津建郎が、初めてブータンの「人びと」と、人の「心の中にある聖地」を捉えた新作73点を展示。

▲井津建郎
「Druk #323 パロ・ゾン仮面の僧」
パロ、ブータン2006 (C) IZU Kenro

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