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HOMEデジタルもんじょ箱保存対策事例>ちひろ美術館 水彩画の保存と保存的展示

保存対策事例

保存対策事例 第2回(2008.04.01) ▲保存対策事例トップへ
ちひろ美術館 2/3水彩画の保存額装

ちひろ美術館の収蔵環境

ちひろ美術館・東京には1つ、安曇野館には現在3つの収蔵庫があります。通常、作品は安曇野館で収蔵しており、東京へは展示替えにあわせて移送します。二重の耐震鉄筋コンクリートに内装は杉の板張りで、間の空気層に空調の風を吹き込み、温度を管理します。温湿度は年間を通じてほぼ一定に保たれ、常時20℃、55%RH前後です。資料は出典別に桐タンスに収蔵しています。

水彩画作品は、スペースの関係上、一枚ずつ中性紙の保護紙で包むか、中性紙のブックマット*で額装して桐タンスに納めます。

・一枚ずつ中性紙の保護紙で包み納める
・ブックマットで額装し納める

作品の保存に使う用紙についてたずねました。
ちひろの古い作品は、薄葉紙などで包まれていました。変色が始まっているので、順次、中性紙に取り替えています。マット紙も定期的にpHをチェックしています。

▼ちひろ美術館 収蔵庫





*ブックマット
窓抜きした表側のボード(ウィンドウマット)と作品を支える裏側のボード(台マット)を、本のように一辺をリネンテープなどで綴じるマットのこと。作品に悪影響を与えない素材を選択することが大切。
ブックマットは、あらかじめ用意された額縁にはめ込み展示し、終了後は額からはずして保存箱や引き出しなどにそのまま収納できる。ブックマットにすれば、作品に触れることなく取り扱える。

展示用の額装

ちひろ氏の作品は戦後間もない質の悪い紙に描かれた水彩画が少なくありません。さらなる酸性化を防ぐためにも外部からの影響を少なくし、環境を安定に保つため額装にはとくに力を入れています。
作品は、無酸のマット紙2枚(上2mm下3mm)にはさみます。額の裏板との間にはバリアペーパー・調湿紙をはさみます。手間のかかる作業ですが、額のサイズを主に3種類に揃え、対応しています。

1.無酸のマット紙ではさむ 2.額に入れる
3.バリアペーパーを入れる 4.調湿紙を入れる
5.裏板をはめる 6.完成


2008年12月には、新しい収蔵棟が完成します。
絵本資料などコレクションが増えていく中、収蔵庫の拡充は大きな課題です。さらに資料を収蔵庫に入れるまでの間により良い状態に作品を整えていくことも課題でした。受け入れ段階でカビや虫が発生している可能性がある資料にも対応できるように、「修復・隔離室」も準備します。その部屋では空気清浄機を設置し、物理的にカビを除去、沈静させるようにします。


(3へつづく)

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