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HOMEデジタルもんじょ箱保存対策事例>虎屋文庫 古文書類の保存と企業アーカイブズとしての役割

保存対策事例

保存対策事例 第1回(2008.04.01) ▲保存対策事例トップへ
虎屋文庫 1/3 虎屋文庫の役割

虎屋の歴史

虎屋の名は、後陽成天皇の在位期間(1586〜1611年)に朝廷へ菓子を納めたことが文書に残ります。宮中の御用は京都で二代、三代と続いた信用のある店が勤めるため、少なくとも1500年代前半には和菓子屋として確立していたと考えられます。

文書に文字として残ることで、後世に活動を伝えることができます。その伝統の重みを、虎屋は代々記録し受け継いできました。1973年からは「虎屋文庫」として、資料の保存・整理にあたっています。

今回は、虎屋文庫の研究主幹である青木直己氏をたずね、古文書類の保存・修復について、そして企業アーカイブズの役割について伺いました。

虎屋文庫の収蔵資料について

虎屋文庫が収蔵する資料群を、大きく時代で分類すると

・江戸時代 虎屋黒川家文書(約800点)
      古典籍(約3000点) 美術工芸品など
・明治大正時代および戦前 近代経営史料
・昭和22年(株式会社設立)以降 経営史料
となります。



虎屋の歴史の中核をなす「虎屋黒川家文書」(店主・黒川家に伝わる古文書)について、どのような資料か・なぜ残してきたのか青木氏にたずねました。




  主なものを挙げると、まずは「御所御用」に関する記録です。朝廷にお納めするお菓子の御用記録(注文控え)です。次に「近江大掾」という官職についての記録です。後の5代目店主・黒川光冨が1672(寛文12)年に任ぜられました。これらは、先例を踏襲する形で行いますので、残す必要があったのだと思います。

そして「菓子屋仲間」に関する記録です。虎屋は朝廷にお菓子を納める「禁裏御用菓子屋」という菓子屋の中でも特別な位置づけでした。そのため、同業者間の取り決めを記しておく必要がありました。

「菓子見本帳」は、絵具でお菓子の姿を彩色し、菓銘を記したもので、原材料を書いたものもあります。菓子屋で使うだけでなく、お得意様へも届けられました。今でいうカタログのような役目をしたと考えられます。
「菓子見本帳」によって、江戸時代のお菓子の姿が現在に伝わります。



▲『御菓子之畫圖(おかしのえず)』


▲お菓子をお届けする際に使用していた螺鈿細工の箱(青貝井籠・あおがいせいろう)
撮影:安室久光氏














▲「院御所様行幸之御菓子通」(内容)
虎屋黒川家文書
1635(寛永12)年、明正天皇が後水尾上皇
の御所へ行幸した折の御用記録。



▲『御菓子之畫圖(おかしのえず)』
虎屋黒川家文書
1695 (元禄8) 年、現在確認できる最も古い菓子見本帳。

和菓子文化の情報発信

虎屋文庫の重要な役割の1つとして、和菓子文化の情報を発信する、という機能があります。本社ビル2階の「虎屋ギャラリー」では、年に1回もしくは2回、「虎屋文庫資料展」として企画展を開催しています。最近の展覧会では、第69回「歴史上の人物と和菓子展」など。各回、テーマにまつわる手作りのお菓子が展示されるユニークな展覧会です。
会期は約1ヶ月間です。当初は、ひと月100名ほどのお客様がいらっしゃいました。現在では、5000〜6000名ほどのお客様で、リピーターの方々も多くいらっしゃいます。

そのほか、年に1度、機関誌『和菓子』を発行。また、虎屋黒川家文書の一部がマイクロフィルム化され、同志社女子大学図書館にて公開されています。

問合せにも可能な限り回答しています。
電話やインターネットなどによるお問合せは、虎屋文庫だけで年間約2000件いただいています。半数以上が社外の方で、お客様や研究者、マスコミの方など多方面にわたっています。

お茶請けや贈り物、年中行事や茶の湯など身近ながらも特別なシーンでいただく和菓子。虎屋文庫は、小さな和菓子につまった日本の文化を発信していきます。

(2へつづく)

▲「ザクロ形」と木型
「和菓子百珍展」出展

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